―明治時代の女性雑誌から 月経帯広告と生理の悩み相談
明治時代の生理用品広告集
「各種生殖器病を予防し往来、運動、起居等婦人の動作を快活ならしむるを以って
貴婦人、令嬢、教員、事務員、女学生、看護婦、女芸人等には欠くべからざる品であります。」
(月の帯『婦人世界』1911(明治44)年 第6巻第13号)
これは明治時代の月の帯という月経帯の広告に書かれていた説明文の一部です。
簡単な言葉に言い換えるとすれば、
「月の帯は、女性特有の病気予防になりどんな活動も明るくこなせる
すべての女性に欠かせないサニタリーショーツです。」となりましょう。
不潔な紙や布をタンポン式に詰めずに、脱脂綿を外からあてて月経帯で押さえる
ナプキン式処置を行うことは、当時では西洋の女性たちが行っている衛生的な処置法として、
明治時代の半ばごろから当初は一部の女性を対象に医師が提唱し、月経帯の市販もされていました。
市販されていたとはいえ、現在の生理用品のように安価で入手しやすいものではありません。
安全帯という月経帯の値段を例にとってみると、特製付属帯が1円20銭、
セットで使う吸収用の安全主帯が1ダース60銭です。
安全帯の広告掲載雑誌『婦人世界』の値段が1冊15銭であるのと比べると、
生理用品の1円20銭+60銭はかなりの高値です。
安全帯『婦人世界』1910(明治43)年 5巻第3号

「子宮病の原因は月経時の挿原防経にあり」
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安全帯『婦人世界』1910(明治43)年 5巻7号

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月の帯『婦人世界』1911(明治44)年 第6巻第13号

人気作家『食道楽』村井弦斉も宣伝に一役買っていた
家族が使用し「大層都合が良いそうです」

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次の2点はキャッチフレーズと挿絵が両方とも同じ安全帯の広告です。
掲載誌の季節が冬と夏のため説明文に違いがあります。
二つめの広告に「恐るべき子宮病ヒステリー等に罹る憂もありませぬ」
とあるように、月経帯での生理処置を怠ると病気を招くと
宣伝する安全帯の広告はこの他にもみられます。 |
安全帯『婦人世界』1912(明治45)年 第7巻第2号

「御婦人方が寒中の最大必需品は安全帯です。
ナゼなれば皆様が尤も危険を感ぜらるるは寒中の月経時」
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安全帯『婦人画報』1912(明治45)年 八月巻

「夏期御婦人方の大厄を救う物は此安全帯です。
ナゼなれば日々暑さを増し来りて、御召し物が薄らぎ行く
きょうこの頃、皆様が尤も苦に遊ばす月経時」

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明治時代の生理の悩み
明治時代の雑誌にも現在と同じように読者投稿によるページがありました。
『婦人世界』では医師のアドバイスを受けることができる衛生問答という
コーナーがあり、生理に関する悩みも寄せられています。
『婦人世界』1907(明治40)年 第2巻第3号
「婦人衛生問答」
毎月同じ日に生理が来ないことを心配する相談

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誌面全体
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『婦人世界』1907(明治40)年 第2巻第14号
「婦人衛生問答」
5番 毎月食事も摂れないほど生理痛でつらい、
何歳になったら生理は終わるのかという質問

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誌面全体
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関連ページ
最終更新日:2015年11月25日